ギリシャ支援が失効、IMFは返済期限延長を検討へ

アテネ 30日 ロイター] - ギリシャに対する欧州連合(EU)側の金融支援が1日に失効した。ギリシャは支援が切れる直前に債権団に対して支援の延長を求め、新提案が受け入れられれば、国民投票を中止する用意があるとの考えを示した。

IMFは、ギリシャが30日の期限までに15億ユーロの債務を返済しなかったことを確認。IMFのライス報道官は、ギリシャが同日、返済期限の延期を要請したことを明らかにし、IMFは理事会で検討すると述べた。一方、追加融資については、債務を返済しなければ受けられないと述べた。

ギリシャは、支援が切れる直前に、ユーロ圏諸国に、2年間の資金繰り支援や債務再編、つなぎ資金を確保する現行支援の延長を求めた。チプラス首相がデイセルブルム議長宛に1ページの書簡を送り、ロイターが入手した。

また、複数のユーロ圏関係筋によると、ギリシャのバルファキス財務相はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の電話協議で、新たな融資が認められれば国民投票に関する政府方針の変更もあり得るとの見解を示した。

財務相は、双方が新たな融資で合意できれば、政府として、債権団の改革案受け入れの賛否を問う国民投票を取りやめるか、有権者に投票で賛成票を投じるよう勧める意向だと語ったという。

ユーログループのデイセルブルム議長(オランダ財務相)によると、ユーログループは7月1日0930GMT(日本時間午後6時半)に電話会議を開き、ギリシャ問題について討議する。

関係筋によると、チプラス首相が求めている、債務返済のための300億ユーロ近くの2年間の新規融資を協議する見通し。チプラス首相は債務再編も求めているが、債権団は受け入れに難色を示している。

格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は29日、ギリシャ国債の格付けを「CCC」から「CCCマイナス」に引き下げた。フィッチも、ギリシャ長期格付けを従来の「CCC」から「CC」に引き下げた。

一方、ギリシャの首都アテネ中心部にあるシンタグマ広場では、緊縮反対派と債権団の支援を受けるための改革支持派それぞれの陣営がデモを行い、過去24時間で数万人が集結した。

ギリシャで導入された資本規制により、国民は自国がユーロを離脱した場合に被るかもしれない経済的混乱をすでに味わっている。

ATMでの現金引き出しは1日当たり60ユーロに制限され、ガソリンスタンドやスーパーマーケットなどでは長い行列ができた。今後を不安視する買い物客がパスタやコメなどの必需品を買いだめする姿も見られた。

直ちに深刻な不足が起きる兆候はないが、銀行の営業停止が続けば、すでに一部の企業で起きている資金難が悪化する可能性もある。

アテネの精肉店店主は「今のところ、供給業者との間に問題はないが、もし銀行が来週も営業を再開しなければ、支払いに少なからず問題が生じるだろう」と語った。

AION RMT